志木は私なんかよりもずっと泣きそうな顔をしていた。


「……泣いてるの……?」


「…………。」





ああ……。

だめだ……。

やっぱりどうしようもなく好き……。



「……志木……。

言ったでしょ?『嫌いになったりしない』って。」


志木は目をまんまるくして私を見る。

人の姿だから少しつらそう。




「言ったでしょ?『好き』って。」




私が志木に笑いかけると、頭をポリポリとかき、右手を私の方に差し出した。


「これならいいのか……?」


差し出された手を握る。


「……仕方ないから許してやる……。」


志木の手が少し熱を持っていて、期待してしまう。