もしこれが昨日見た狼だったらどうしよう……。 「別にいいや……。」 狼の目が少し細まる。 「志木とおんなじ狼に傷つけられるんなら別にいいや。」 さっき落ちたときについてしまった手が痛む。 痛みといろんな感情がめぐる頭で火照って、意識がしっかりしない。 志木………… 温かい手に持ち上げられる。 ああ…… やっぱり、志木だった………… 「バカな女。」 その言葉を聞いて私は目を閉じた。