懐中電灯を志木に向ける。 「狼、大変だね?」 「人の世界で生きるペナルティーだよ。」 狼になって元気になったのか、志木はピョンピョンと前を走る。 「志木っ、道狭いから落ちるよ!」 「見えるに決まってんだろ!」 暗闇の中、志木の鋭い目だけが光っていた。 これが志木じゃなかったらすごい怖いかも……。 その時、道の脇の茂みがガサガサと音を立てた。 「なっ、何!!?」 「お化けだぞーっ!!!」 えっ!? 霧島くん!? て言うか、バランス崩れたっっ そのまま私は道から転げ落ちた。