「ごめん、他の人に拾ってもらって?」 この町で初めて声をかけられた気がした。 こいつは藤間。 同じクラスのやつだけど、あんまり目立たない。 近くで見ると、妙に優しそうに見えた。 最後の足掻きで可愛い鳴き声を出し、藤間にアピールした。 アピールがきいたようで、藤間は俺を家に連れ帰ってくれた。 そこは、独りだった俺にとって、あまりにも優しく、あまりにも温かかった。