「ちょっと、小野寺くん寝てるって!」 「嘘ー!」 ただいま林間学校に向かうバスの中。 林間学校は富士山近くに行くことになった。 「チョー可愛くない?」 女子たちの話題は志木の寝顔一色だ。 正直私は見慣れてしまっている。 志木は夜にはもちろん狼になるのだけど、この林間学校は2泊3日。 できるだけ遅くまで起きて、人の姿を保つために暇さえあれば寝て食べる、と言っていた。 「はい、もうすぐ着くので寝てる人は起こしてあげてくださーい。」 先生の声に女子たちの落胆の声がもれた。