その顔は誰にも見せるな…、俺だけに見せればいいんだ。


「ほら、遅刻しちまうぞ。お邪魔しました」


手を引いて玄関に向かう。


短い距離だけど、ずっと下を向いたままでいる。


そんなに…俺のことが嫌いか?


「離してよ朝食泥棒。靴はけないでしょ」


やっと喋ったと思いきや、毒を吐く。


手を払い除けられ、一気に手の熱が散っていく。


もう少し握ってたかったな…。


出る前に挨拶をして俺たちは通学路を歩く。