それから30分くらい経っただろうか。


少しうたた寝をしていると、俺のスマホが鳴った。


相手は当然だが母親だった。


「はい…」


『隆治?』


「うん」


『休みもらったわよ。しかもニ日!』


「二日~っ?」


思わず声が裏返った。


マジかよ?


そんなに店閉めて、大丈夫なわけ?


『大人にはね、大人の交渉術があるのよ』


「なんだ、それ?」


『とにかくゆっくり休みなさいね。

冷蔵庫に飲み物やらチンして食べられるものやら、色々入れておいたから。

お腹が空いたら食べてね。

また明日、夕方にでも顔を出すわ。

大事にしてね』


「あ、あぁ…」


そう言うと母親は電話を切った。


なんだろう。


やけにテンション高かったな。


チラリ部屋を見てみると、知らない間に加湿器が置かれていた。


だから、部屋がやけにあったかいんだな。


こんなもの、わざわざ持って来てくれたんだ。


重かっただろうに。


それにしても、二日も休めるのか…。


そう思うと、なんだかホッとしてしまって。


その夜は、安心して眠りについたのだった。