凪とスウェル

今の声って、奥さんだよな?


俺は慌てて作業場から店舗へと飛び出した。


見るとレジの前で、師匠が仰向けに倒れていた。


俺はすぐに師匠のところへ駆け寄った。


心臓に耳を当てると、ちゃんと動いているし、呼吸も出来ているようだった。


でも意識がないので、これはまずいと思った。


「長谷川君どうしよう、どうしたらいいの?」


奥さんはパニックになっている。


以前もそうだったけれど、一分一秒を争うと思った俺は、すぐにレジ横の電話から救急車を呼んだ。


師匠の横で泣き崩れる奥さん。


俺はとにかく落ち着くようにと奥さんを励ました。


俺は店をクローズにし、師匠の入院の準備を始めた。


それを見ていた奥さんも、保険証など必要な書類を準備し始めた。


以前も師匠は心筋梗塞で倒れた。


それ以来、きちんと薬も飲んでいたし、あまり無理はしないようにしておられたけれど。


でも、再発の可能性がないとは言い切れなかった。


救急車が到着するまで、俺と奥さんは言いようのない不安に押し潰されそうになっていた。