凪とスウェル

俺の勘は当たっていて。


隆治はやっぱり病院に来ていた。


ただ、病室には入っていなくて。


談話室みたいなところで、一人うなだれてたよ。


俺の顔を見て、一瞬表情が緩んだけど。


目がうつろで、明らかに寝ていない形跡があった。


そんな隆治に、俺はコーヒーを買って手渡して、俺もその隣に座った。


二人でコーヒーを口にしていたら。


隆治が静かに話し始めたんだ…。





被害者のケガの状態は、あまり思わしくないようだった。


もちろんリハビリを続ければ、普通の生活を送ることは出来るけど。


ただ、相手があまりにも悪過ぎた。


被害に遭ったのは、俺らと同じ高校3年生の女の子。


それも普通の女の子じゃない。


インターハイに出るような、ハードルの有名選手だったんだ。


スポーツ推薦で既に大学も決まっていて。


昨日は、トレーニング後の帰宅途中だったらしい…。