明らかな嘘だった。


あまりにもわざとらしくて、背中に変な汗をかいていたけれど。


でも、千春ちゃんにどう思われようが、これ以上隆治のパンを食べるわけにはいかなかった。


「そう…。ちょっと残念だけど。

お父さんがそうおっしゃるのなら、仕方ないよね」


千春ちゃんが悲しそうな顔をする。


「ご、ごめんね。今までありがとう。

あの、これ今日の代金。おつりはいいから。

じゃあね」


千春ちゃんに手を振って、あたしは自分の学部の校舎へと走った。


ごめんね、千春ちゃん。


千春ちゃんは何も悪くないの。


だけど。


もう関わるわけにはいかないから…。