凪とスウェル

「したい…」


「は?」


「だから…。

したいんだよ…っ」


したい?


したいって…。


「……何を?」


あたしの問いに、隆治が頬を真っ赤にさせる。


え…。


まさか、それって!


「ちょっ、無理。

無理無理!

そんなこと、出来ないっ」


ブンブンと必死に首を振ってそう叫んだ直後、隆治の顔が歪んだ。


「どうして…?」


ど、どうしてって言われたって…。


「あ、あのね。

あたし、経験ないの。

初めてなの。

こ、心の準備ってものがいるでしょう?」


ついさっき隆治の気持ちを知ったばかりなのに、そんなの急に無理だもの。


「そんなの。

俺だって、経験ないよ…。

でも…」


「でも?」


「もう明日から会えないから…。

すずに沢山触れたいし、見たいし。

全部、覚えておきたい…」


「隆治…」


確かに、もう明日から会えなくなるけど。


だけど…。


だからって、そんなことしていいのかな…。


「ねぇ、隆治。

気持ちを確かめ合うのに、それってそんなに大事なことなのかな…。

あたしには、よくわからないよ…」