御劔 光の風3

「ここに来る前の皇子の話でも気になったのですが、同じ事が出たのでお聞きしたいのです。」

「俺の話?」

「はい、日向について。」

カルサの目が大きく開く。いまいち状況を理解できないレプリカは千羅とカルサの様子を伺っていた。しかしカルサも同じように状況を理解できていないらしい。

「単刀直入に聞きます。ここで出会う前から日向をご存じでしたか?」

千羅からの質問は二人に投げられたものだった。やはり何をしようとしているのか分からない二人は顔を合わせて交互に答え始める。

「はい。勿論です。」

「どうしたんだ?千羅。」

二人から肯定の返事が出された。千羅は考えをまとめる為に視線を一度下にすると、すぐに顔を上げて二人と目を合わせる。

最初はレプリカに、そしてカルサと視線を合わせて口を開いた。

「私は日向を知りません。」

衝撃がカルサを襲うがレプリカは動じなかった。

「はい、記憶を消されている筈です。」

「しかし千羅は先代バンの記憶を受け継いだはずだ。」

そう言いながらも千羅の言葉をきっかけにカルサの中で浮かんだ記憶がある。つい先刻に話した事、何故か日向の話の時の皆の反応は悪かったと思い出したのだ。

「きっと先代様の記憶から消されているのだと思います。」

レプリカが可能性の1つを掲げた。もしそれが本当ならば、あの時あの場にいた彼女からも消されているのではないのか。

「マチェリラも…か。」

声にならない呟きがカルサから漏れた。やるせなさと、悔しさ、自分ではどうにも消化できない気持ちが身体中を埋め尽くしていく。カルサは強く拳を握った。

「教えて下さい。日向とは、どのような人物なのですか?」

二人ともカルサの異変には気付いていた為に千羅が答えを求めた先はレプリカで、彼女も自分の役割を感じていた。一度カルサの様子を見てから口を開く。