御劔 光の風3

「そのレプリカは重体か。大分リュナの行動が読めるな。」

貴未が呟く。おそらく彼女は自発的に敵地に向かったのだろう、きっと今も一人で戦っている。

「その後に結界石の間に行って残骸を確認した。戦った跡もあったし、その辺はおそらく紅しか知らないだろう。」

千羅の言葉に貴未は黙って頷いた。そして視線を落とし呟くような声で千羅に問いかける。

「それで…ナルは?」

言葉足らずでも何を聞きたいのかが伝わった。ナルがどこで、どんな風に息絶えたのか、それが知りたかったのだ。カルサは俯き加減で自分の手元を見つめたまま動かなかった。千羅はそれを確認した後、ゆっくりと口を開いて代わりに伝える。

「玉座の間に倒れていた。」

千羅が駆け付けた時はまだ微かに息があって、何かを訴えるように息を引き取ったと続けた。それが気になりナルの部屋を探ったところあの手紙が出てきたが、千羅にはまだそれ以外に伝えたかった事があるのではないかと思えて仕方がない。

「誰か、残留思念が読み取れれば解決するが。」

「それが出来たナルがもういない。」

千羅の言葉に付け足すようにカルサが続けた。

「あの方は偉大だった。何が何でも守らなければいけなかったのに!」

後悔の念が瑛琳を襲う。手で頭を押さえ抱えきれない強い思いに押し潰されそうだった。瑛琳が珍しく見せたそんな姿に千羅の表情が歪む。

誰もが悔やみ、空気は重たくなっていった。

「残留思念を読む、そういった力を持つ人なら知っているわ。」

暗く重い空気に一筋の光が指す。マチェリラの透き通るような落ち着いた声は、希望の光のように思えた。まさか彼女が自分から積極的に提案を出すなんて予想もしない、貴未でさえも驚きの表情でマチェリラを見つめる。

「私だってもう…逃げたくない。前に出て戦うのは本来なら私たちの筈、いつまでも過去にこだわり続けるのはもう嫌なの。」

さっきまで震え、貴未に支えられていた彼女は自分の力で前を向いていた。そんな彼女の様子をただ周りは見ている。覚悟を決めたマチェリラは凛として美しかった。