ラファルのことも気になったが、紅は先行くナルに付いていき二人は部屋を後にする。

部屋に残されたラファルの傍にはいつの間にか瑛琳が付いていた。

微笑みかけて、そっと抱きしめる。

「ラファル…。」

名前を呼ばれラファルは瑛琳に頭をすり寄せた。

嬉しさから抱きしめた手に少し力を入れる。

ラファルには伝わっていた、瑛琳の気持ちはラファルの気持ちそのものだと知っていた。

「あの方を守らなければ…こんなにも…大きく包んで下さる。」

切実な想いは声にすると涙にしてしまいそうだった。

泣かないと決めている、強く生きて最後に泣こうと心に決めているのだ。

しかしこんなにも人の温かさが心を揺さぶる。

嬉しいのかそうでないのか、それさえも分からなくなってしまいそうだった。

瑛琳には彼女たちがどこを目指したのか分かっている。

そこは東の塔の上部、誰にも知られない入り口から続く道の先だ。

今ナルたちはまさにその入り口の前に辿り着いていた。