「あの子のこと、頼みます。」

深々と頭を下げて気持ちを伝える、ナルは自分の願いを誠意ある態度で示したかった。

ラファルは頭を下げてそれに答え、やがて空間は歪み元の彼女の部屋へと戻ってきた。

「ナル!」

最初に出迎えたのはナルの衛兵である紅の声、ナルはその声に笑顔で答えた。

「あら、紅。」

「びっくりしたわ!なんや静かやと思たら…何かやってたんか?」

「少しお話をさせてもらっていたのよ。」

座ったままナルは紅を見上げ、紅は不思議そうにナルとラファルを見比べる。

「話て…ラファルと?」

紅の言葉にナルは微笑むだけだった。

ありがとうございましたとラファルに頭を下げ、立ち上がる。

その表情は厳しいものにかわっていた。

「紅、この城の…この国の強化をします。」

「強化?」

「貴女だけに教えるわ。付いてきなさい。」

ナルは紅の返事を待たずに歩きだした。