..ピエロの仮面..

そこにいたのは、敗者である前田さんの姿であった。

ロッカーの中の荷物にペンキで落書きをされている。

『ブス。キモイ。』などの言葉が書かれている。

「大丈夫?」

尽かさず乃々美は駆け寄る。

それを見た、華保も渋々駆け寄る。

「き…岸木さ…んっっ」

前田さんが乃々美に助けを求めているのがわかる。

「あら−まぁ−前田さん。また…こんな事してしまって…一体何がしたいのです?」

嫌味ったらしく言葉を発するのは…勝者である“日向亜恋”とその仲間達だった。

「また…あなたたちが…やったの?」

強気に言う乃々美…。

「えぇ。そうよ−。乃々美は静かに松下とイチャついときな!!あんたがでる幕じゃないよっ。あっ!もし気に入らない奴がいたら、教えて下さいなっ!懲らしめてやるからさっ」

笑いながら彼女は言う。

尽かさず松下を見ると、見てみぬふりをしている。



すると、そこに…

「おい!!どうしたんだそこ!?さっさと席に着かないか!!」

先生が現れる。

「別に……何も。だよねっ?前田さん?」

何もなかったように演技をする亜恋。

「は…はい……何もありません。」

前田さんは、そう言うと涙をふきながら、自分の席に座る。

たまに、こんなことがある。