あれから、毎日あの曲を聞くことにしてる。


忘れないように、お母さんにも言った。



『この曲を聞きなさいって言って。』


と。



そして、東先輩は毎日のようにお見舞いに来てくれる。



そしてそのたびに言うのだ。



『符和ちゃん、わたしのこと覚えてる!?』



それが、わたしには苦しくてたまらなかった。


みんなからすれば、いつ忘れられてもおかしくないのだ。


だからわたしは、最近笑顔で人の名前を真っ先に呼ぶようにした。



ガラッ


「あ、東先輩!!」


こんな風に。



すると東先輩は、ほっとした顔をするんだ。



でも、そろそろヤバいのは実感していた。



食事をしたのを忘れたり、トイレの場所を忘れたり。



そのたびに、羞恥心がわたしをおそった。




…でも、もう少しで他の病院に移ると思う。





その時は、先輩に知らせないようにしよう。