「それじゃあ、一番から。」 1人1人番号をつけられ、順番にアカペラで歌っていった。 わたしは一番最後だ。 どの子もうまいっちゃうまいけど、いまいちピンとこない。 そして、わたしの番になった。 『…あの日から 何年過ぎたの? 私が幼すぎた あの日から 伝えられなかった思いが 今さら溢れ出す…』 歌い始めて、聞いていた軽音楽部の先輩の表情ががらりと変わった。 …どうしよう、みんなの前でわたしが歌っている。 もし落ちたら? 怖い。 わたしは歌以外なにもできない。 どうか、うかって…!