『なので、桜庭様、
みお様の事、よろしくおねがいします。』


そういって、僕に頭を下げる椎名さんは
ほんとうに、彼女のことを思っているんだ

と、改めて思った。



そんなことを考えているといつの間にか彼女の部屋の前だった。


彼女は、僕が部屋に入ってくると
驚いて、布団の中に隠れてしまった。

そんなところも可愛いと思う、
僕は、どうかしているのだろうか?


『なんできたの?』


布団からひょっこり現れた彼女は
少し照れくさそうだった、


『みおがみたかったから。』


そう言うと、彼女はまた
布団の中に隠れてしまった。


そんな彼女がどうしても愛おしくて。

彼女の手を握った。
彼女は驚いて布団から出てきた、


僕は不意打ちでキスしたんだ。

彼女は、『移るよ?』って、


僕は、『じゃあもらってあげる。』って


周りから見たらすごく臭い言葉
漫画やドラマでよく言っている
ありきたりな言葉。


でもこの時に、僕が彼女の病気を
もらっていれば、
どんなによかっただろう。



この時の僕達はまだ、
何も知らなかったんだ。


そぅ、なにも。。。