彼女の家はここらへんじゃ高級住宅街
と言われてる所に立っている、
すごく大きな家だった。


インターホンを押すと
決っていつものタキシードの椎名さんが出てくる。


みおのおみまいにきた、と言うと。

椎名さんは決まって優しく笑ってくれた。


僕が彼女に会いに来ると、椎名さんは
本当に嬉しそうにするんだ。


彼女の家には何度も行ったことはあるのに。
何度行っても慣れなかった。

よく迷ってた気がする。


彼女の部屋に向かう途中で椎名さんは
彼女の話を始めた。

『みお様は毎日楽しそうに私共に
桜庭さんの話をしてくださるんです。』

そう言った椎名さんは少し、悲しそうにした。


彼女の両親は大手メーカーの社長と社長秘書。


家にいるところなんて見たことがない。


彼女は昔から親がいない環境で育ってきた。
その中で彼女は一度も寂しいと
言ったことがないんだとか。