でも
「…あーもー」
グイッ
それでもそんな不器用な彼が私は愛しくてたまらないのである。
「…んっ」
彼のジャージの襟元を掴んで重ねた唇。
微かに漏れた彼の声が色っぽいと思ったのは私だけの秘密だ。
誰にも教えてやるもんか。
「キスしたいならそう言えば?」
そっと唇を離して少し睨むようにそう言えば、彼は顔を真っ赤にしたまま小さく頷いた。
そして今度はゆっくりと彼の方からキスが降ってくる。
触れるだけのそれが本当に彼らしくて。
なんだかそれが嬉しくて、仕方ないから部活が終わるのを待っていてあげようかなと一人心で思った。
おしまい


