そして少女は兵器を知る

少女と男との対峙は一瞬であり、決着も一瞬だった。

撃ち放たれた男の弾丸は、たしかにたしかに、少女の目をえぐり、貫通した。

しかし、それでも少女は倒れない。

生きている。

そして少女が生きることが、

「っ、ぎゃああああ――!!」

男の、死に繋がった。

伸ばされた細い指先が、男の首を掌握し――肉体の潤いを奪い尽くす。

どこかで、鳥が鳴いただろうか。

静寂を取り戻した庭には、少女と、主を失った衣類だけが、あった。

あれほど芝を湿らせていた流血も、今や、露ほども残っていない。

すべて、少女の赤さの、糧とされていた。

バシュッ、と電気的な発破音が響き、館のベランダから、少女が照らされる。

スポットライトの中心に立つ少女へ向かい、ベランダに立つ老紳士は、優しく呼び掛けた。

「よくやってくれた。いい子だ、ミリアリア。戻っておいで」

少女はひとつ、うなずく。

「はい、お祖父さま」