「ミリアリア、よくない事態だ。どうやらまた野蛮人のご訪問らしい」
その親指が、パチ、とステッキの頭、蓋をあけた。
現れた白いボタンを、カチリと押し込む。
とほぼ同時に、
「鷹眼のミスター!!」
外から、野太い男の声が響いた。
『鷹眼のミスター』……お祖父様が、大多数の他者に呼ばれる際の、名だ。
その言葉の裏にはどこか、私の『スカーレット』に通じるものがある気がする。
お祖父様が答えずにいると、外の声は勝手に続けた。
「スカーレットを渡してもらおうか。お前さんに、そいつは過ぎた代物だ」
窓の外を見ないお祖父様が、やれやれ、と声を溜め息で薄める。
灰水色の瞳が今度は、急に緩くなる。
それは私に、優しく言い聞かせる時の目であり、
「だそうだ、ミリアリア。――どうしたい?」
私に行動の指針を、選択させる時の目だった。
私は、お祖父様のその目も、嫌いじゃない。
むしろ私の本能と知識が勝手に、その目を守れと、体中の血脈を急き立てる。
その親指が、パチ、とステッキの頭、蓋をあけた。
現れた白いボタンを、カチリと押し込む。
とほぼ同時に、
「鷹眼のミスター!!」
外から、野太い男の声が響いた。
『鷹眼のミスター』……お祖父様が、大多数の他者に呼ばれる際の、名だ。
その言葉の裏にはどこか、私の『スカーレット』に通じるものがある気がする。
お祖父様が答えずにいると、外の声は勝手に続けた。
「スカーレットを渡してもらおうか。お前さんに、そいつは過ぎた代物だ」
窓の外を見ないお祖父様が、やれやれ、と声を溜め息で薄める。
灰水色の瞳が今度は、急に緩くなる。
それは私に、優しく言い聞かせる時の目であり、
「だそうだ、ミリアリア。――どうしたい?」
私に行動の指針を、選択させる時の目だった。
私は、お祖父様のその目も、嫌いじゃない。
むしろ私の本能と知識が勝手に、その目を守れと、体中の血脈を急き立てる。

