世界には、道具が溢れていた。
なにをするにも、効果的で、効率性を考慮された道具がある。
ケースにいた時、私はそんなもの知らなかった。
ただ、私は私の体だけを頼っていた。
あの獣も、私に似たあの二人も、自分だけを信頼して、酷使していた。
角を突き出して。
髪を伸ばして。
体を変化させて。
自分だけで、なにもかもを行っていた。
私もそうだった。
だから、だからあのケースから出た時、自分の体を使わない行動に、驚いた。
その最初の驚きが、車という、移動の手段。
私が全力で走ろうと追い付けない高速を、車は簡単に、やってのける。
屋敷にあるものと同じ、座り心地のいい椅子に、お祖父様と向かい合って座る。
今は、お祖父様の用事から帰宅している途中だった。
車内、目を閉じ、足の間に突いたステッキの頭を指で叩くお祖父様の表情は、渋く硬い。
出先での会談を終えてから、ずっと。
「まったく、おぞましいことだよ、ミリアリア」
と、お祖父様は言った。
なにをするにも、効果的で、効率性を考慮された道具がある。
ケースにいた時、私はそんなもの知らなかった。
ただ、私は私の体だけを頼っていた。
あの獣も、私に似たあの二人も、自分だけを信頼して、酷使していた。
角を突き出して。
髪を伸ばして。
体を変化させて。
自分だけで、なにもかもを行っていた。
私もそうだった。
だから、だからあのケースから出た時、自分の体を使わない行動に、驚いた。
その最初の驚きが、車という、移動の手段。
私が全力で走ろうと追い付けない高速を、車は簡単に、やってのける。
屋敷にあるものと同じ、座り心地のいい椅子に、お祖父様と向かい合って座る。
今は、お祖父様の用事から帰宅している途中だった。
車内、目を閉じ、足の間に突いたステッキの頭を指で叩くお祖父様の表情は、渋く硬い。
出先での会談を終えてから、ずっと。
「まったく、おぞましいことだよ、ミリアリア」
と、お祖父様は言った。

