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なしてはならない願望。

なさなければならない抑制。

その二つを天秤にかけ、彼は前者を選び、彼女も前者を選ばせられた。

運命と、紛い物でしかない命の始まりを、私は閉じたまぶたの闇を感じながら、五感以外で知る。

始まっている。始まってしまった、見逃せない過ち。

運命の行く末を、私の存在を、訂正改竄しなければいけない。

あの時、あの瞬間、両端に乗せた未来のもう一方、あるべき世界、来るべき時を取り戻すために。

そのためになら私は――

人という器を、捨ててしまおう。

すべて、私と、彼と、彼女と、世界のために。

だから私は今、現実という禁忌へ、目覚める。



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