幸恋‐ユキコイ‐

「わかる。こんなに降ったの久しぶりだもんな」


「でしょ?」


私は笑顔を奏太に見せた。


「でも、ちゃんと病室にいなきゃダメだろ?
外泊許可取り下げられてもいいのか?」


そう言って奏太は私の頬っぺたをつねった。


「わ、わかっへるよ・・・」


つねられてるせいで言葉が思い通りに出ない。


「ほら、早く中、戻るぞ!」


手を離して彼は立ち上がる。
私も急いで立ち上がった。

サンダルで出てきたせいだろうか。
私は立ち上がったと同時に足がもつれて転びそうになってしまった。


「きゃっ」


小さな悲鳴を上げた。

雪の中に倒れてしりもちをつく。

と、思ったけど痛みは全然なかった。


逆に温かくて柔らかい感触に包まれる。


顔を上げるとそこには奏太がいた。
しばらくして彼に守られてるのだと思った。


「奏太…」


「ったく危ないなー
ケガしたらどうすんだよ」