幸恋‐ユキコイ‐

結構積もってるようだった。


居てもたってもいられなくてパジャマの上に厚めのカーディガンを羽織って屋上へ向かった。


鉄の重い扉を開けて屋上へ出た。


まだ誰の足跡もついてなくて私は興奮する。


小走りで雪が降り積もってる地面へ向かう。


ホワイトクリスマスだ・・・・


私はしゃがんで両手で雪を掬う。

すごく冷たくて指先が真っ赤になる。


雪を手で固めて丸い形にする。


もう一つ同じ大きさに丸めてさっきの球を乗せる。

床がコンクリートだから石はないから顔がない雪だるま。


「幸未」


背後から愛しい人の声がした。
振り返らなくても誰だかわかる。


「奏太!」


「めっちゃ探した。
病室にも診察室にもいないし携帯も繋がらないし」


そう言って奏太はため息を一つついた。
そして私の隣に腰を下ろした。


「ごめん。雪降ってたから居てもたってもいられなくて」