「・・・・」


「奏太?」


私が答えても奏太は黙ったままだった。


「…嘘だよ。
電話なんてしてない」


「え?!」


衝撃の一言に頭がついていかない。


「何で嘘つくの?
俺、知ってる」


もしかしてばれてるの?
でもなんとか誤魔化さなきゃ。


「何、を?」


「ずっと見てたんだよ。
隣の病室の廉って奴に告白されてるところも抱き締められてる所も」


奏太の下を向いていた視線が私を見る。
その瞳はとても冷たくて怖かった。


「でも!奏太だって携帯学校に忘れたんでしょ?
それで私が電話かけたら坂城さんが出たんだから!
それに、そうやって言うんだったらメールも電話もくれれば私も不安にならなかったんだよ!」


「俺だって毎日幸未の相手してるほどヒマじゃないんだよ!」


奏太はバンッとテーブルを叩いた。

その大きな音と声に私の体はビクッと震えた。


「ずっと、そんな風に思ってたんだ…
私ワガママだったね。
聞き分け悪くてごめんね」