幸恋‐ユキコイ‐

廉くんの言葉に戸惑う。


「何でもないよ!
それに私いつも通り元気…キャッ!」


私が言い終わる前に腕を引かれた。

そして体に温かい温もりが広がった。


「…え・・・・」


しばらくして廉くんに抱きしめられてるのだと分かった。


「…れん…くん・・・?」


名前を呼んでも抱きしめられている腕に力を込めるだけ。


「無理して笑うなよ…
僕、知ってるよ」


「な、なにが?」


「この前も昨日も部屋で1人で泣いてたのも。
電話の事も」


「へ?どうして…?」


あの時の事、見られてたの?
彼の意外すぎる言葉に頭がついていかない。


「決まってんじゃん、そんなの」


この次の言葉は私も想像できた。


「僕、山中が好きなんだ」


「う…そ…」


ドクンッと胸が大きく脈打った。

でもこの音は恋じゃなくて…


「返事、聞か…」


「…っ…」


廉くんの言葉がどんどん遠のいていく…

発作だ。私はそこで意識を手放した。