事件が起きたのはそれから2日後だった。

奏太は会いに来ないし連絡もない。


「どうも、これ読み終わったよ」


「まじ?それ面白かっただろ?」


私は病室に入って本を廉くんに渡した。


「うん!最後の種明かしまで分からなかった」


「だろ?いつもなら途中でわかるのにこれはわかんなかったんだ」


いつも通り本の話をする。

しばらくお互い読んだ本の感想を話していた。


夕方になって私は自分の病室へと移動した。

夕焼けを見ると奏太を思い出す。


奏太に思いを伝えられたのも伝えたのも夕焼け空だったから。

会いたいなぁ…


私はスマホを取り出して操作した。

彼の声が聞きたくて我慢できなくてつい通話ボタンを押してしまった。


―プルルルルップルルルルッ


5コールして出なかったら切ろうと思った。


『もしもし?』


4コール目が鳴り終わる頃電話の向こうで女の人の声がした。


「え?これ、奏太の携帯ですよね?」