あの日から一週間が経った。
奏太からの電話はあれから一度も来ていない。

忙しいと思って私からは連絡できない。

私はヒマを持て余して廉くんから借りた推理小説を読み老けていた。


「ねぇ、この話の犯人は誰なの?!」


「それ言ったら意味無くない?」


「あぁ、そっか」


私と廉くんはどんどん仲良くなっていった。

お互いの本を貸し借りして感想を言い合う。


「2巻の推理、なんか単純じゃない?」


「そう?私はギリギリまで分かんなかったよ!」


「こんなの半分読んだら動機も推理も全部わかる」


ほとんど廉くんは感想…というよりも文句を言ってくるからそれが面白い。


「検査、どうだった?
順調?」


ずっと触れなかった話題。
私は遠慮がちに聞いた。


「あぁ、意外と軽度なものだったみたい。
きっと来月には退院する」


「ほんと?良かったね!」


自分から持ち出した話だったけど私は後悔した。