電話を切った途端、胸がズキンと痛んだ。
きっと写メの女の人。

離れてても病院でしか会えなくても奏太は私の事好きでいてくれてるのかな?

どうしようもない位の不安が押し寄せる。


「彼氏、何?」


廉くんの声にハッと我に返る。


「何でもないの。
本、ありがとう。またね」


ダメだ。
このままじゃ不安をすべて打ち明けてしまいそうだ。

私は慌てて廉くんの病室を出て自室へ戻った。


「奏…太っ…」


会いたい。


会いたいよ。


でも、自分では会いに行けない。


「会いたいよぉ…」


目を閉じるとさっきの電話越しに聞こえた女の人の声が蘇る。
思わず涙が頬を伝った。


「…っ…う…」


昨日、会ったばかりなのにどうしてだろう。
いつか離れなきゃいけない日が必ず来ることを知っている。

それがもうすぐ来てしまいそうで怖い。

泣けば泣くほど不安は大きくなる。


私は知らなかった。
この時、開いたドアの隙間から廉くんが見てたことを…