私は邪魔しちゃいけないと思って黙る。


私と一緒に居る時にはあまり見せない真剣な横顔に胸がキュンとなる。

でも、ずっと見てると「見んな」って怒られる。


そして私の顎を掴んで前を向かせる。


そんな事に対しても胸がキュンってなる。


「ここはこの公式当てはめればいいんだよ」


スラスラと問題を解いていく奏太の手が止まった。

それはわからない問題がある時の合図。


私は通信制の高校に通ってて月2ぐらいで課題が送られてくる。

ヒマ人な私はそれだけじゃ足りずお母さんに問題集を買って来て貰った。


それをコツコツ進めて勉強を頑張っている。


「そっか、そうするとここはx=7?」


「うん」


「なるほど!ありがとう。
よし!これで終わり!!」


そう言って奏太は参考書をパタンと閉じた。


「山中さん、そろそろ面会時間終わりますよ」


通りかかった看護師さんに言われて気が付いた。

きっとずっと話していたんだろう。