幸恋‐ユキコイ‐

ドキン、ドキン、と心臓が一定のリズムでいつもより速く鳴る。


「ゆ…き・・・・・」



「で、でもね、答える前に聞いて欲しいの」


奏太の言葉を遮り私は言った。


「何も聞かないでね」


「うん・・・」


奏太はゆっくり頷いた。


「私ね、原因不明の心臓病なの・・・
20歳まで生きられなくて、移植するしか方法はないの」


「うそ・・・だろ…?
歌穂が肺炎って・・・」


「本当。
歌穂ちゃんには同情されなくなくて嘘ついたの。

私、いつ死んでもおかしくない状態で・・・

だからずっと入院してるの」


「・・・・・・」


私が話し終えると彼は黙ってしまった。


何か、言って欲しい。


何も言われないのが一番辛いよ・・・


そう思ったら涙が溢れてきた。