「最近ね、入院してた友達のお兄ちゃんに恋したの。
告白されて、相手を傷つけたくなくて嘘ついて断った。

でも、本当は好きなんだ…」


好き


奏太が大好き。


一分一秒も忘れたことない。

急に思いが溢れてきて涙が出そうになった。


「ねぇ、幸は結局自分が傷つくのが怖いんでしょ?」


結夏が低い声で言った。


「別に…でも相手の幸せを考えたらそのほうが…」


「自分が病気で苦しんでる姿を見せたくないからでしょ?
それで同情されるのが嫌なだけじゃん!」


「そんな事ない!
私だっていっぱい悩んだの!」


「形だけでしょ?!
その人が好きなら気持ちに答えてあげなさいよ!」


結夏が勢いよく立ち上がった。
その勢いで椅子が倒れた。

椅子の倒れる大きい音が病室に響いた。


しばらく沈黙が流れた。


「ごめん…カッとなってつい・・・」


結夏が椅子を戻して再び座った。