幸恋‐ユキコイ‐

私は奏太の事がこんなに好きなのにこの想いはもう届かないの?


「奏太!
私から離れて行かないでよ!」


大声で私は叫んだ。

涙で視界が遮られる。


もう見ていられなくて私は穴から視線を下に移した。

体が震えしゃがみこむ。


「幸未…」


背後から声がした。

この声は聞き逃すわけない。


「奏太…」


だって愛しい人の声だから。


「離れていくなら幸未だろ?
ずっと幸未は俺のそばにはいられないんだろ?」


「そう…だけど…」


奏太は切なそうに笑った。


「だったら俺はずっと一緒に居られる女を選ぶ」


そう言って奏太は私に背を向けて歩き出した。


「待って!行かないで!」


どれだけ叫んでも奏太は止まらない。