裏を見ると“すずき あや”と名前が書いてあった。


『絢ちゃんって言うんだね。いいよ。
読んであげる』


『ありがとう!』


絢ちゃんをベッドに寝かせその隣で私は読んであげた。


『…こうして王子様と白雪姫は幸せに暮らしましたとさ。
ってあれ?』


読み終わると絢ちゃんはもう夢の中だった。


かわいい子だなぁ…
そうして何度か絢ちゃんの元へ遊びに行き私たちは仲良くなった。


「…こうして王子様と白雪姫は幸せに暮らしましたとさ。
おしまい」


本を読み終わると絢ちゃんは目をキラキラさせていた。


「絢ね、白雪姫大好きなの!」


知ってるよ。
だって遊ぶたびに読んであげてたもんね。


「王子様が迎えに来てくれた白雪姫は幸せだね!」


「そうだね」


「絢も王子様が迎えに来ないかな!
お姉ちゃんは王子様が来た?」


王子様か…
私にとってそれは奏太だった。