幸恋‐ユキコイ‐

目を開けると窓から朝日が差し込んでいた。

口には酸素マスク、腕には点滴。

体がだるい。


「幸未ちゃん。目、覚めた?」


窓からドアへ視線を移すと伊藤さんが入ってきた。


「昨日、過呼吸になっちゃってね。
そのまま意識を失ったの」


やっぱり過呼吸か…

弱いなぁ・・・私。


やっぱり奏太とさよならして良かったんだね。


「そういえば昨日、この部屋の前に男の子が来てたわよ。
幸未ちゃんを処置している頃ね」


ええっ!
それって…


「それで『彼女、何の病気なんですか?』って私に聞いてきたのよ。
『患者さんの個人情報は教えなられません』って答えたら…」


『お大事に、って彼女に伝えて貰えませんか?』


そう言って奏太は悲しそうに笑って帰っていったらしい。


「その…男の子は…どんな…人で…したか?」


言葉が途切れそうになりながらもゆっくり話す。