この前と同じベンチに2人で座った。

私はいつもより距離を開けて座った。


「歌穂、退院出来て良かった」


「うん」


「…あのさ、これからも幸未に会いに来てもいいか?」


「な、なんで?」


「幸未のこともっと知りたいから」


「どうして?ただの友達でしょ?」


そう、友達だよ。
絶対にこの一線を超えてはならないんだよ。


「俺は幸未を友達として見たことを一度もない」


「何それ。意味わかんないよ」


嘘。本当はわかってる。
奏太が少しずつ私に伝えているから。


奏太は私の肩を掴んだ。


「幸未の事が好きだって言ってんだよ!」


「…え?」


この言葉が聞こえなかったらどんなに良かっただろう。