今まで歌穂ちゃんをみる奏太の目はどこか苦しげだった。

でも今はそうじゃない。

ちゃんと妹を見るお兄ちゃんの目になっていた。


「じゃあな。また明日も来るよ」


「うん。バイバイ」


病院の入口まで私は奏太を見送った。

病院の外へ奏太が出てからも私はその後ろ姿を見つめていた。


その時、奏太が振り返った。
笑顔で大きく手を振っている。

私も大きく振り返す。

奏太の笑顔にキュンって胸が鳴った。


そっか。

最近、顔が赤くなったりこの胸がキュンって鳴ったりする。


きっとこれが恋って言うんだね。


私は奏太に恋をしたんだね。