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「俺があの時、ちゃんと話を聞いていれば歌穂は苦しまずに済んだのかもしれないのにっ
どうして気づいてやれなかったんだ」


奏太はそう言って頭を抱えた。
歌穂ちゃんの過去は壮絶なものだった。

辛かったね。

歌穂ちゃんが傷ついてるのと同じように奏太も傷ついている。

奏太の表情はよく見えないけど、頬が濡れていた。


気がついたら私は奏太の頭を抱きしめていた。


「大丈夫、奏太は悪くないよ。
ただ、タイミングがお互い悪かったの」


彼を抱きしめながら私は彼の頭を撫でた。


「みんなでさゆっくり歌穂ちゃんの傷を癒してあげようよ」


体を離すと奏太の涙はもう止まっていた。


「幸未、ありがとな。
お前がいなかったら俺ずっと自分を責めてたかも」


奏太はそう言って私の頭を撫でた。


一緒に病室に戻ると歌穂ちゃんはまだ寝ていた。