「そっか。忙しいのに話しかけてゴメンネ」


そう言って歌穂は苦しそうに笑った。

今思えば初めていじめを目撃した時と同じ笑った顔だったんだ。


その後、俺は無事に志望校に合格した。

中学校も卒業してその2週間後だった。


歌穂がお腹が痛い、と言い始めた。

昨夜歌穂は賞味期限切れのお菓子をもったいない、と言って1人で全部食べていたからそれが原因だと思った。

俺も両親も。


しかし1週間経っても歌穂の体調は良くならなかった。
心配した両親は病院へ連れてった。

そして、ストレス性の胃腸炎だと診断された。

何がストレスになってるのか聞いたらすべて歌穂は話した。


学校でいじめられてること。

物を隠されたり

無視されたり

押し倒されて蹴られてること。


それを聞いたと同時に俺は自分を責めた。


あの時歌穂は俺にいじめられてることを話そうとしていたんだ。

歌穂の話をちゃんと聞いていれば今、入院してる歌穂はいなかったかもしれないのに。