幸恋‐ﾕｷｺｲ‐

私が言うと奏太は頷きまた話し始めた。


「中3の春頃かな。
隣のクラスの女子に呼び出されて告られたんだ。
けど、俺はその時はバスケに集中してたし自分から好きになった子としか付き合いたくなかったしさ。
それにその子本人が言うんじゃなくてその子の友達に言われたんだよ。
もちろん断ったんだ。
でも…」


「でも？」


私が聞き返すと奏太は苦笑し、ため息をついた。


「その子の友達が一斉に俺の事攻めてきてさ。
『付き合うぐらいいいじゃん』とか『断られたなんてあの子に言ったらかわいそうだよ』とか。
なんかすっごいイライラして俺言ったんだ。
『ボランティアじゃないんだから好きでもない奴と付き合えるかよ』って」


「それで？」


「そしたら次の日、学年中の女子から冷たい視線。
俺が女子に暴言吐いたとか暴力振ったとかなんか話盛られてるし」


「うわぁ・・・」


奏太の予想を超えた話に思わず引いてしまった。

女子って怖い…


「もしかして卒業するまでそのまま？」


私が問いかけると奏太は首を横に振った。