幸恋‐ユキコイ‐

「ねぇ、私と出会う前の奏太の話、聞かせてよ」


私は奏太に笑顔で言った。
奏太のすべてが知りたいんだ。


「いいけど、そんな面白くないぞ?」


「それでもいいの。
奏太の事、知りたいんだ」


「でも、何から話せば…」


「じゃあ、小学校の頃はどんな子供だった?」


私が問いかけると奏太は何か遠くを見るように窓の外を見つめた。


「外を走り回るのが大好きだったかも。
親が音楽関係の仕事してても俺は全然興味持てなかったな」


「勉強とかは、得意だった?」


「全然ダメ。宿題以外の勉強は絶対やらなかったし」


その後もいくつかの質問を私はした。

小4でバスケットボールのクラブに入って中学校でもバスケをしてたんだって。

でも中3の夏の最後の大会直前に肩を故障しちゃってそこで断念。

それから高校に入るために猛勉強した結果、今の高校に入学。


「中学の時、告白とかされた?」


「された…けどそれはかなり酷かった」


「何それ、聞かせて?」