「お父さんは?」


私は自分で振った話なのに辛そうにするお母さんを見てられなくて話を逸らしてしまった。


「外の風を浴びてくるって」


「そうなんだ」


生きてやる。
あとどれくらいの時間があるのかわからないけど絶対絶対残りの期間を精一杯。


ふと奏太の顔がよぎった。

奏太はこの事、知ったらどうなるんだろう…

ゴメンね。
私は1人で逝っちゃうけど奏太はその後、一人ぼっちになっちゃうんだよね…


奏太、ゴメンね。
ごめんなさい。

私は何度も謝った。
彼から貰った指輪を握りしめながら。