「なら良かった」


「後藤先生、何て?」


微笑んでたお母さんの表情が一変して凍り付いた。
きっと私の読みは当たってたんだろう。


「少し休めばまた…」


「正直に言って!」


私はお母さんの言葉を遮った。
そんなの見え見えの嘘だよ。

何も知らないで死ぬより全て分かったうえで逝きたいよ…


「嘘でしょ…?
4日も意識失うなんて初めてじゃん」


「…幸未…」


お母さんは目を丸くした。
図星のようだ。


「落ち着いて…聞いてね?」


「うん」


お母さんは私の手に自分の手を重ね、ゆっくり話し始めた。


「幸未の心臓はいつ止まってもおかしくない状態なの。
それが明日なのか1週間後なのか分からないけどその時期が早まってるのは事実…」


お母さんは自分の事のように顔を歪めた。

そっか…
やっぱりもうすぐなんだね。

私は思ってたよりすんなり事実を受け入れられた。
何て表現していいかわからないけど悲しくはならなかった。