幸恋‐ユキコイ‐

『幸未、時間だよ』


遠くから誰かの声がした。

時間ってどういうこと?


『言ってたじゃないか。
早く生まれ変わりたいって』


言ってたけど…
でも何で今?

私、まだ生きたいよ。

奏太と一緒に居たいもん。


『とにかく、時間だから。
早くこっちに来た方が周りの人の為にも、自分の為にも』


嫌だよ。
ワガママだけど絶対嫌。


『しかたない。
でも、いつか絶対そういう日が来ることを忘れるなよ』


そう言ってその人は指をパチンと鳴らした。
すると私のしゃがんで居た所に穴が開いた。

私はその穴に吸い込まれていく。


やだ。
怖いよ、助けて。

助けて、奏太。

私を1人にしないでよ。
お願いだから。