「幸未」


「どうしたの?」


そう言ったと同時に私は奏太に引き寄せられていた。
近づいてくる顔に気付いて目を閉じる。

何度も重なる唇に何も考えられなくなる。

酸素が足りなくなって私は奏太の胸を押した。


ようやく離れた唇。

きっと私の顔はすごく真っ赤だ。


「ゴメン。
風呂入ってくるから。
俺のベッドの横に布団敷いたからそこに寝て?」


奏太はそう言って下へ行ってしまった。

1人、残された私は奏太の部屋へ入った。

茶色い勉強机にベッド。
シルバーのラック。

奏太らしい部屋だった。


「幸未」


部屋の中を見渡してると後ろから声を掛けられた。


「か、奏太!
お風呂、早くない?」


「早くない。
幸未が遅すぎるだけ。
風呂出たら幸未がさっきと同じ場所にいるんだからビックリしたよ」


ハハッと彼は笑った。
一緒に部屋の中に入る。


「電気、消すよ」


奏太の言葉に私は目を丸くした。