幸恋‐ユキコイ‐

「っ!」


視線の先にはさっきのキスプリがあった。
そんなの恥ずかしくて落書き出来ないよ!


「勝手に落書きして!」


奏太の肩を軽く叩き私はまた落書きに取り掛かった。


落書きを終えて落書きコーナーから出る。
あとはプリクラが出てくるのを待つだけだ。


しばらくしてプリ機からプリクラが出てきた。


「絶対、これ誰にも見せないでよ!」


私はこれでもかってぐらい念を押した。
だってキスプリなんて誰にも見られたくないし。

自分のキス顔なんて自分でも知らないのに・・・


「分かってるって」


奏太はそう言ったけど彼ならやりかねない。


その後はお互いの洋服や雑貨を見て回った。


雑貨屋さんでは可愛いマグカップを買った。

病院には給湯室があって看護士さんに言えば紅茶やコーヒーを淹れてくれるんだけどみんな自分のカップを使ってるから。


「帰ろうか」


「う、うん」


あっという間に日が傾いてきてあたりは薄暗くなってきた。