看護師さんに呼ばれて私は病室を出た。


「ねぇ、伊藤さん」


「何？幸未ちゃん」


診察室に入って小さい時から知ってる伊藤さんに声をかける。


「私、あとどれくらい生きられるの？」


「どれくらいだろうね。
幸未ちゃんが生きたいって思えばずっと生きられるんじゃないかな」


伊藤さんはそう言った。


「私、早く生まれ変わりたい。
そしたらまずい薬も痛い注射も打たなくていいのに」


私の言葉に伊藤さんは苦笑してた。

検査が終わって病室に戻ると奏太がいた。


歌穂ちゃんのベッドの脇にある椅子に座っている。


「あ、奏太。来てたんだ」


「あぁ、学校終わったし。
せっかく歌穂に会いに来たのに寝てるし」


そう言ってすやすやと寝ている歌穂ちゃんの頬をつついた。


「歌穂、最近どう？
元気してる？」


「まぁ、胃腸炎だから元気ではないよね」


私の言葉に奏太はフフッと笑ってそうじゃなくて、と続けた。